『黒川温泉』ってどんなところ?
熊本県の南西部、大分県との県境に位置する阿蘇郡南小国町に黒川温泉はあります。阿蘇外輪山の山肌を田ノ原川が削り取った谷間に広がる黒川温泉は、木々の深い山間に、黒い瓦屋根が見え隠れする、旅館数24件のまるで隠れ里のような雰囲気をたずさえた温泉地です。黒川温泉の発祥は、その昔、病の父のためにウリを盗んだ孝行息子の首を畑の主がはねたところ、なぜか落ちていたのは地蔵の首でした。その首を安置した場所 (現在の外湯・地蔵湯)から温泉が湧き出したといわれています。温泉地としての歴史は江戸時代にまでさかのぼり、江戸期の儒学者である「頼山陽」が宿泊したとも言い伝えられています。温泉の効能は“きず湯”とよばれていたほど、切り傷に特効があるといわれており、またリューマチ、神経痛、婦人病など幅広く効き目を表します。そのためむかしは近隣に住む農家のおじいちゃん・おばあちゃんの湯治場として親しまれていました。
さて、本日この会場におられる方で、実際に黒川温泉に行ったことがある方はいらっしゃいますか?(会場のお客様に挙手を促す)
いた場合…「黒川温泉にはどのような交通手段で行かれました?」
→多分ほとんどの人は自動車かバス。
いない場合…「残念ながらいらっしゃらないようですね。」
黒川温泉はお世辞にも交通の便が良いとは言えない場所にあります。電車でいこうとした場合、もっとも近い駅からバスで1.5時間もかかります。黒川温泉を訪れる人のほとんどは自動車を利用することになるのですが、それでも最寄のインターから1時間はかかる場所にあります。このような地理条件ですので、九州に鉄道網が発達していった明治以降はいわゆる「観光」という面では忘れられた存在となり、長い長い冬の時代が続きました。
黒川温泉が再び脚光を浴びるようになるのは1980年代半ばからのことです。各旅館が一斉に始めた露天風呂作り、温泉地全体への植樹運動、黒川温泉すべての旅館の露天風呂が利用できる手形の発行など、地域全体の景観統一を含めた一連の改革により人々から注目されるようになっていったのです。その改革のリーダーが本日の講師である後藤哲也先生です。
この改革により黒川温泉の人気は年を追うごとに急上昇し、黒川温泉観光旅館協同組合によると、2003年の宿泊者は約38万人、日帰り客を含めた年間入り込み客数は約115万人に上っています。これは狭い「スポット」の温泉地としては驚異的な数字であります。また、九州では旅行雑誌「じゃらん九州発」にて『行って良かった観光地』調査で6年連続1位、2002年の日本経済新聞社主催の『NIKKEIプラス1温泉大賞』では堂々の大賞を受賞するまでに至っております。