日本観光地に対する危機感
まずはじめにご紹介することは、後藤先生が現在抱いている日本各地の観光地や自治体に対する強い危機感に関してです。先生の基本的な思想として「地域性を活かした町づくり」というものがあります。これは言葉を変えれば「地域で共通のキーワードをもつ」ということになります。黒川温泉にとってそのキーワードは「日本のふるさと」であったということです。そのため、黒川温泉では景観・建物・旅館のサービスに至るまで「日本のふるさと」を意識したものになっているとのことです。なんと道端の郵便ポストですらわざと昔の形のものにしているほどです。
翻って日本各地の観光地の様子を考えて見ましょう。京都・由布院・軽井沢…。1997年、いまから8年前に建都1200年事業の一環として建てられたJR京都駅。いろいろな立場や考え方がありますのでその賛否に関して一概に言えたことではありませんが、我々がもつ京都のイメージとは合致しない外観であることは間違いないと思います。京都が地域全体でもたなければならないキーワードは何なのでしょうか?皆さんにもなんとなく想像ができるのではないかと思います。
また、北海道のとある観光地のお話です。お土産屋をのぞくと木製の熊の置物がズラリと並んでいたそうです。北海道土産としては有名な物ですね。ところがひとつ手にとって良く見ると、なんと驚いた事にその置物は全て中国製だったのです。その観光地ではお土産の売り上げが芳しくない事を問題として取り上げていました。しかし、そのような品揃えではやはり売れるはずはないのです。その土地の特色を現したものを人々はお土産として買いたいと思っているはずです。観光に来たお客さんが何を求めているのか?何を欲しがっているのか?これは商売全般に言えることですが、そういったお客様側の要望を汲み取る心、「もてなしの心」を欠いている経営者がまだまだ多いとおっしゃっております。